[RADICA]19990803-11:00
■ Mail Magazine[ R a d i c a ]ラディーカ   1999年 8月 3日(火) 11:00 第434号
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□ [NEWSFLASH] 早読みネット情報
□ [SERIAL]    ボストンバッグ  堀場 康一
                  Rへの便り
□ [SERIAL]    めたまんの編集メモ
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■ 早読みネット情報
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[RADICA] 紀藤正樹弁護士と、「ライフスペース」との紛争。ライ
フスペースは、自己啓発セミナーから宗教団体に変わった組織。ラ
イフスペース側からのメールを、紀藤氏は「嫌がらせ」と表現。
http://www.teleway.ne.jp/~kito/index.htm
http://www.teleway.ne.jp/~kito/lifespace.info.htm
http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/topic/index.html
http://biz.nifty.ne.jp/gfnet/index.htm
[RADICA] 「直子の代筆Ver.8」発売。9月17日にはMacintosh版も
出荷。
http://www.nikkei.co.jp/business/release/efd06010h02.html
[RADICA] 日本でのネット株式取引に、今度は仏パリバが進出。
2000年初頭にも業務開始の予定。
http://www.nikkei.co.jp/main/cont.html
[RADICA] cdmaOneで女性向けの懸賞。「超簡単懸賞EZwaiwai」と
いうコンテンツがcdmaOneのインターネットサービス「EZアクセス」
内に新設された。
http://www.nikkei.co.jp/business/itc/
[RADICA] TBS社員がまた不祥事。痴漢体質の会社なのか? トイ
レの壁は落書きで真っ黒(というネタももう飽きました)。
http://www.asahi.com/0802/news/national02023.html
[RADICA] USB接続のMOドライブをコニカがOEM向けに販売。エンド
ユーザーに直接販売はしない。iMacにも対応。
http://www.nikkei.co.jp/newpro/pc/index.html
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●『ニセ首相に聞く』
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 ニセ首相への質問を「Radicaニセ首相質問係宛て」と明記の上、
 s-muraka@t3.rim.or.jp までお送りください。
●『正太猫の人生相談』
 あなたのお悩みに、ネットに生息する「猫」がお答えします。
 ご相談は、radica@ninjin.netまでお送りください。秘密厳守。
●『コラムライター募集』
 RADICAに連載をご希望の方はradica@ninjin.netまでご連絡を。
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■ ボストンバッグ
                                                  堀場 康一
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● Rへの便り
	見えない気持ちでゆらゆらと
	アスファルトの日向に立ちどまっていると
	聞きおぼえのある足音がにわかに
	ビルの影から駆け出してくることはないか
	あるいはすりきれた歩道に交叉する
	よどみないおしゃべりの向うで
	見おぼえのある物欲しげな眼差しがひそかに
	ビルの上をふり仰いでいることはないか
	振り子が逆立ちしたままのうつむいた姿勢は
	未知を予告するのには不向きかもしれないが
	ふわふわのおもかげを噛みしめ
	歩きなれた白い道筋をくりかえし辿るとき
	聞えるものと聞えないもの
	見えるものと見えないものとが
	ぼくの内側で不器用にからみあい
	思いおもいに自己主張しはじめ
	踏みしめられた街路のにおいが
	ひからびた肌をそっと撫でても
	ぼくはふりむくことを知らない
	ぼくはおののくことを知らない
	過ぎゆくものが過ぎてゆき
	わからぬものがわからないまま
	行くあてのない空白にさまよいこみ
	人ごみのあいだでぼくはまぼろしと対面する
	どこを向いてもきみの影はない
	きみのやわらかな輪郭がぼくのこころに
	とてつもない位置を占めているというのに
	きみと居合せても顔色をうかがうばかりで
	何ごとも始まるすべはなかったが
	ぼくにはまぎれもなく一つの出会いだった
	いったいこの世界には
	魂の昼寝するひまはある?
	なるほど人にはめいめいのやり方があり
	興味をそそらぬものには何食わぬ顔で
	すましこんでいるのが得策だとしてもなお
	きみをこのうえなく煩わしたいときがある
	たとえばきみの傍らにはいつも
	ぼくがいるんだというふうに
	たとえばきみのかけがえのない名前を
	空いちめんに落書きするんだというふうに
	時は着実に歩をすすめ
	ぼくらの思いは確実にしおれてゆく
	というてみたとて気持ちが安らぐわけではない
	風化した涙がこのうえ風化するなら
	目覚めて起き上がるのはむずかしい注文だ
	百の朝には百の夜が待ち受けているから
	千の記憶には千の躊躇がついてまわるから
	日の傾いた裏通りでぼくは耳をすます
	すると涸れたアスファルトの息吹にのって
	忘れていた馴染みのある節がやってくる
	  このこのこの世が極楽ならば
	  いっぱい寝坊してずる休みしましょ
	  このこのこの世が地獄ならば
	  こわいえんまさまとかくれんぼしましょ
	  かさかさなるのはなんのおと
	  はらはらするのはだれのせい
	  鬼さんどちら
	  にっちもさっちも
	  鬼さんこちら
	  にっちもさっちも
	うれしいことばとさびしいことば
	やさしい目つきとけわしい目つき
	なりふり忘れて行きつ戻りつ
	とぎれとぎれの語りに合せて
	ぼくらの町はようよう暮れてゆく
	家々の明りが行儀よくともりだす時分
	ときおり道端までもれてくるのは
	食卓で交される気どらない会話だろうか
	食卓を囲む暮しから
	ひさしく遠ざかっているぼくには
	いつも耳新しくまぶしく映るひびきだ
	そこには安らぎがあり生気があり
	暖かさがあり穏やかさがあり
	たよりなさももどかしさも
	静けさもすれちがいさえもある
	そこで一日が始まり一日が終る
	何とありふれて何と神聖なひとときだろう
	きみは今宵も食卓へ向かう
	だれかの噂して軽い笑みをつくってみたり
	あるいはめずらしく押し黙り
	神妙に箸をうごかしたり
	ぼくには何ひとつ知るよすがはないが
	食卓についたきみはひとしれず
	胸をなでおろしているのかもしれない
	さてきみの思いどおりに事を運ぶのが
	きみにとって賢明だとするなら
	ぼくの入り込む手だてはどこにあるのだろう
	決して感傷をひけらかすつもりはないが
	燃え上がる忍耐で身を固めることなど
	ぼくにはできない相談だ
	ぼくはきみを思い浮べる
	ぼくのからだが早く朽ちてくれるなら
	これほどありがたいことはない
	しかしわが身をもてあそぶ真似はよそう
	目の前が後悔にかすむよりは
	目をつむり仄暗い流れに身を委ねる方がいい
	耳を澄まし汽車の汽笛を追いかける方がいい
	きみと気のおけない時を過ごすのは
	ありえないことかもしれないとしても
	ぼくの祈る祈りはいつも
	とほうもなくひとりよがりだとしても
	それでもなお夜の前でとなえてみる
	きみはいま心をきらめかせているか
	からだは元気にしているか
	無理をしていないか
	おせっかいだなんて思わないでほしい
	ぼくはひんやりする部屋の壁に向かい
	いつになく夜明けを迎えるのが億劫に思えて
	立ちはだかる見えない扉をたたいている
[付記]
 円地文子さんの小説に『食卓のない家』(新潮社、1979年発行)
というのがあります。その「あとがき」に円地さんは次のように記
されています。
「……私にペンを取らせたものは、現代のどの層にもある社会対家
庭の問題なのです。食卓は家庭の象徴とも言えるでしょう。……」
(同書下巻、245頁)
 この本を読んだのは東京で一人暮らしをしていたときでした。当
時の私にとって、食卓はあこがれの場所であり、神聖な場所でもあ
りました。
 食卓では、一家団欒ばかりでなく、家族が争ったり、離れ離れに
なったり、毎日さまざまな出来事がありますが、食卓が家庭で果た
す大切な役割は今も昔も変わりがないと私は思います。(作者)
[ 堀場 康一 oliver@anet.ne.jp ]
[ オリバー通信 http://www.bekkoame.ne.jp/~horiba/ ]
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■ めたまんの編集メモ
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 なんだか忙しいです。連絡が遅くなっている方、ごめんなさい。
すぐなんとかしますので少々お待ちを。
 こういうときに限って、クリックインカムのサーバーが落ちてま
した。
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