別冊 Mail Magazine adica 1999年3月5日(金)
RADICA EXPRESS SELECTION
半導体工場を二つも建設!
 新プレイステーションのために1200億円!


 来年早々に発売とされているゲームマシン、新プレイステーション周辺の話がものすごいことになっている。
 4日、プレイステーション向けに開発されたCPUを製造する半導体工場を、なんと二つも建設する話が発表された。
 一つは、半導体製造の世界的大手、東芝とソニーの合弁で建設される大分工場。 これはプレイステーションの中心、「Emotin Engine」というCPUを作るための工場だ。 製造ラインには、0.18ミクロンという最先端の半導体製造技術が導入される。
 もう一つは、ソニー長崎の工場内に建設される、グラフィックチップ「グラフィック・シンセサイザ」製造ラインだ。 こちらも、2560ビットというとんでもない幅の内部バスを実現するため、DRAM混載という技術が取り入れられたチップを作るための、やはり最先端の工場だ。

 二つの工場に投入される資金は、総額1200億円という途方もないものだ。 一つの製品を製造するために、これだけの資金が非常に短期間に使われることは珍しいだろう。
 当然、この資金は十分回収できると踏んでのことだ。 1998年度第3四半期、ソニーグループのゲーム関連の売上高は3139億円に上る。 営業利益を見ても、784億円あまりという数字だ。 この数字を援用すれば、約4ヶ月半の利益をつぎ込めば二つの工場が出来上がってしまうことになる。 ゲームマシンビジネスはこんなにビッグな世界なのだ。
 現在、ソニーグループから人材が集められ、この工場を実現するために動いている。 プレイステーションシフトとでもいうべき状態だ。

 この二つの最先端半導体工場が出来上がったあとに、ソニーグループや東芝にもたらされるメリットは、ゲームマシンを作るためだけにとどまらない、非常に大きなものになる。
 まず、最先端の製造ラインが短期間に完成するということだ。 プレイステーションの製造が落ち着いてくれば、別のチップを作るためにこのラインを使える。 しかも、巨額の初期投資はプレイステーション向け製造によって回収できる。
 また、ここで開発されたチップは、ほかにも搭載されて、今までにない製品が出てくることが予想される。 誰でも思いつくのは、テレビやビデオへの応用だろう。 画像処理用のプロセッサーとして、様々な製品に搭載されるのは想像に難くない。
 パソコン分野にもこのチップが使われることがあるかもしれない。 このCPU、Intelが先頃販売をはじめたばかりのPentium IIIと互角の性能を持っている。 しかも、マルチメディア分野で性能を発揮するように設計されているので、今までの Windowsマシンとは一線を画した、パソコンが誕生することになるかもしれない。

 その昔、当時の最先端技術で製造したトランジスタを使った、ポケットに入るラジオを売りまくってソニーは大きくなった。
 画期的な半導体を使って画期的な製品を作る伝統は、今もソニーに生きているようだ。

○ ソニーと東芝、次世代プレイステーション用半導体に1,200億円投資
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990304/ps2.htm

○ 1998年度連結および単独業績のご通知---【ビジネス別の概況】
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/FR/
1999-01-27.j/FR-98-3Q-2.html#game


○ LSIの製造計画を変えた,次世代プレイステーションの巨大な影響力
http://ne.nikkeibp.co.jp/edaonline/eachnews/99mar/990304sony2.html

□□ [紅屋鉄之助 tetsu@ninjin.net]


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