| 別冊 Mail Magazine Radica | 1999年2月10日(水) |
| RADICA EXPRESS SELECTION | |
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音楽業界、MP3に追われて ネット対応の新ビジネスモデルを模索中 |
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ワーナー、BMG、EMI、ユニバーサル、ソニーという、世界的なレコード会社5社が、米IBM社が開発した、インターネット上で音楽ソフトを販売するシステムを利用し、 春から6ヶ月間にわたって試験を実施する。 CDと変わらない高品質な音楽データを、家庭に販売するこのシステムだが、違法コピー対策にも力が入れられている。 ネットではすでに「MP3」という圧縮技術で、 CDクォリティの音楽が流通していが、MP3には著作者側がコピー制限をする手段が含まれていない。 これで楽曲を販売することは、権利者にとっては恐怖だろう。 また、音楽CDから簡単にMP3のデータに変換することが出来るため、違法コピーのデータがいくらでもネットから入手できるという現状だ。 今回発表されたシステムは、このMP3対策という意味合いが多分に込められている。 発表会見の席上、興味深い発言が聞かれた。 JIJI NEWS Watshによると、BMG上級副社長ケビン・コンロイ氏は、「著作権を完璧に保護することは難しいが、 それよりもインターネットを利用して利益を上げることの方が重要だ」と述べている。 つまり、IBMのシステムが権利保護の観点からは完璧ではないと最初から諦めているようなのだ。 ある程度の権利侵害があったとしても、ネット上での音楽流通を確立して、ビジネスとして成功することを優先しているということだ。正しい認識だろう。 ネットは「コピー」が基本であるということを忘れてはならない。ネットのどこかでデータ化されたものが置かれれば、それが何であろうが、 ネットの隅々まで行き渡るまでコピーされ続ける。 ならば、コピーされることを完全に防止することを考えるより、程々の安全性で、代金回収の手段を確保して、利益を上げていく方が現実的だ。 10年ほど前、パソコンソフトの世界では、「コピープロテクト」という技術が流行した。ソフトウェアを簡単にはコピーさせないようにする技術だ。 しかし、パソコンソフトでコピープロテクトを採用しているものは、今では非常に少なくなった。 ユーザーに「コピーしたい」という欲求は強く、プロテクトはどんどん解除されていく。ならば、コピーされないような技術で工夫するより、 コピーソフトを使うことがバカバカしくなるくらいの価格で販売するという流れに切り替わったためだ。 ユーザーサポートやマニュアル、バグなどの情報提供などを考えると、違法コピーで利用し続けるのは割が合わない、とユーザーが思えるような価格設定をしているわけだ。 日本での著作権関係の議論をみていると、水一滴たりとも漏らさない、という権利側の態度が目に付く。 「デジタルデータは必ずコピーされまくる」という前提で考えなければ、これからの時代、権利ビジネスで生き残っていくことは無理だろう。 ○ 大手レコード会社とIBMが新デジタル配信システムの試験運用を発表 http://www.ibmlink.japan.ibm.co.jp/cgi-bin/ PREScgiDep.pl?docid=PRES1220&caps=N&perc=90&keywords= □□ [紅屋鉄之助 tetsu@ninjin.net] |
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