別冊 Mail Magazine adica 1999年1月5日(火)
RADICA EXPRESS SELECTION
宅配薬物自殺事件のその後

 昨年のクリスマスに、インターネットだけでなくマスコミ全体を揺るがせたのが「宅配薬物自殺事件」。 事件の広がりは止まりを知らず、強硬な取材合戦が問題になったり、インターネット・バッシングまでになったりしたのはご存じの通り。
 いろいろな自殺系のホームページが強引な取材のため、閉鎖を余儀なくされている中、過去に青酸カリ購入したが飲まずに、 睡眠薬のために7月に死亡した足立区の主婦のページ「嬢ちゃんの部屋」を、その夫が更新を続けている。 嬢ちゃんの部屋から直接リンクしてある「やもめ日記」は、自殺直後の7月末からずっと今までの日記が読める。 今年に入って、やっとやっと生活が落ち着いたようだが、いまだ礼をを失した取材が来るようだ。
 今回の事件で自殺系のコミュニティと共に注目されたのは、インターネットが持つ匿名性。 特に朝日新聞などは、この匿名性を問題視してキャンペーンを張った。
 一番最初に匿名性が悪いと指摘したのは、朝日新聞が識者の話として載せた、東大社会科学研究所の西垣通教授のコメントだった。 『問題はインターネットの匿名性が犯罪を容易にしているということで、本来の言論の自由や民主主義の発展のためにも発信の実名性原則をルール化すべきだ。』 このコメントによって、マスメディア全体の報道姿勢が決まってしまったようだった。
 これに真っ向から抗議したのが 富山大学の小倉利丸氏。氏は「インターネットにおける情報の自由と匿名発信は守られねばならない」との声明を出した。 『匿名での情報発信は私達の人権にとって不可欠の権利である。』『監視社会化を深く危惧する。』と述べ、これがインターネット全体の論調の大きな後ろ盾になった。
 今回の事件はインターネットに大きな教訓をもたらした。特にマスコミの報道は偏っていると、インターネット全体が改めて確認したのではないだろうか。 これからは、マスコミ報道を見たときにはインターネットで裏をとる。これが正しいインターネッターの姿となると思う。

○ asahi.com:宅配薬物自殺事件
http://www.asahi.com/flash/tokuhou/tokuhou981225karib.html

○ インターネットにおける情報の自由と匿名発信は守られねばならない
http://www.jca.ax.apc.org/~toshi/seimei981230.html

○ 嬢ちゃんの部屋
http://www.ozma.net/ymd/akiroom.html

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